自宅の晩酌に「獺祭」を２本いただきました。定番の「純米大吟醸４５」に続いて、２本目にいただいたのはこれです。「獺祭（だっさい）未来へ　農家と共に」。このお酒は収穫した山田錦の等級検査において、３等米にもなれなかった「等外米」だけで醸したお酒です。 これについては、桜井博…… more 志会長が自社サイトで熱く語っているので、一部を要約してご紹介します。＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊山田錦はどんな手練れの農家が栽培しても、等外米が約一割出ることは避けられません。等外米で酒を造ると販売する時に特定名称を名乗れないので、ほとんどの酒蔵は購入しません。農家はやむなく屑米として手放さざるを得ません。こんなことから、「等外米を使って通常の獺祭と違う美味しさを持った酒を造りたい」という思いが常にありました。ある時、「山田錦の特上米は心白が大きいため、一定の精米歩合よりも削ることが難しい」という話になった際に思いついたのです。「心白がないか、小さい等外米ならさらに削っても大丈夫ではないか。やってみよう」ということに。６％以下になると砕けた米をふるい落とす網の目から抜け落ちてしまうので８％精米と決定。ただ、そこまで削って、果たして麹になるのかという危惧もありましたが、糖化力はやや劣るものの、きちんと麹になりました。出来上がった酒はどこまでも綺麗な独特の魅力を持つ味わいになりました。＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊等外米に挑戦する蔵はまだまだ稀という状況のなか、地酒のトップランナーが率先垂範して使うことには頭が下がります。上立ち香はエレガントで繊細な甘い香りが鼻腔を撫でます。玩味すると中程度の大きさの旨味の塊が、よく磨き込んで鏡面になった表面をキラキラと輝かせながら、奥床しく忍び入ってきます。 受け止めて保持すると、促されるままに素直に膨らみ、拡散しながら、適度な大きさのクリスタル様の粒々を連射してきます。粒から滲出してくるのは甘味９割、旨味１割。甘味は９９．９９％の高純度なタイプ、旨味はシンプルで細く、真っ白いキャンバスのようで、甘味が主役で甘露な世界を粛々と描くのです。 流れてくる含み香はエレガントで華奢な甘い香りで薄化粧を付与。後から渋味が少量現れて、甘味の舞いを当初は離れて囃すのみに留まるものの、終盤になると適度な力で引き締めて、味わいをよりスリムな方へと誘導し、最後は反転縮退して昇華して行きました。ここまで削れば特等米でも等外米でも同じではないか、と感じた次第です。 お酒の情報（２２年１９４銘柄目）銘柄名「獺祭（だっさい）未来へ　農家と共に　２０２１ＢＹ」酒蔵「旭酒造（山口県岩国市）」分類「“純米大吟醸酒”」原料米「山田錦等外米」使用酵母「不明」精米歩合「８％」アルコール度数「１６度」日本酒度「不明」酸度「不明」情報公開度（瓶表示）「△」標準小売価格（税込）「７２０ｍｌ＝１６５００円」評価「★★★★★（９８点）」  close

山口「獺祭　未来へ　農家と共に」旨味はなく、高純度の砂糖がうっとりする甘い世界をスリムに描く