「獺祭」を醸す山口県岩国市の旭酒造が、遠心分離機を使って搾ったお酒をリニューアルし、装いも新たに売り出しました。その発表会が都内で開かれたので、空太郎も行って参りました。お披露目会には桜井一宏社長と三浦史也蔵長（当時）が参加されていました。リニューアルの狙いについて、桜井社長は次…… more のように話していました。＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊遠心分離機は結構早い時期に購入し、「獺祭」がデビューした１９９９年の翌年には売り出しています。その頃は、純米大吟醸のお酒って（アル添大吟醸に比べて）香りが出にくいというイメージがあって、遠心分離機を使えばもっと香りが残るのではと思って使い始めたのです。 ところが、搾ってみると、香りが強くなることに加えて、余分な味わいがヤブタで搾るよりも、さらに削ぎ落とされて綺麗になったんです。透明感が増したというか。ところが、綺麗すぎて、飲んで見るとひっかかりがなく、すっと入りすぎて、魅力が不足しているとの社内の評価で、結局、遠心分離で搾ったお酒を単独で売ることを諦め、ヤブタで搾ったお酒とブレンドして売り出しました。ブレンドの割合は遠心分離が６６～７５％、ヤブタが２５～３３％でした。そこをなんとか変えられないものか、遠心分離単独のお酒にできないかと製造現場に研究を指示して、出来上がったのが、今回のお酒です。＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊お披露目会では磨き二割三分の遠心分離の新商品と、ヤブタで搾ったレギュラー品の２つを飲み比べることができたので、まずは、ここでヤブタ搾りのお酒をいただくことにします。上立ち香はゴージャスなカプロン酸エチルの甘い香りが鼻腔をくすぐります。口に含むと中程度の大きさの旨味の塊が、鏡面のように磨いた表面に油膜を張って、キラキラと輝かせながら、優雅に滑り込んできます。 受け止めて保持すると、促されるままに流れるように膨らみ、拡散しながら、適度な大きさの水晶のような透明感溢れる粒々を連射してきます。粒から滲み出てくるのは甘味８割、旨味２割。甘味は９９．９９％純度の上品なタイプ、旨味はシンプル無垢ながらも仄かにコクのある印象で、両者は仲良く絶妙なハーモニーを奏でるのです。 流れてくる含み香は高貴でフローラルな香りで完璧に飾り付け。後から酸味と渋味がほんとに微量現れて、隠し味役を担います。甘旨味は隙の無い完璧な舞いを終盤まで続け、最後は反転縮退して昇華して行きました。それでは、次は遠心分離搾りです。 お酒の情報（２２年２１７銘柄目）銘柄名「獺祭（だっさい）純米大吟醸　磨き二割三分　２０２１ＢＹ」酒蔵「旭酒造（山口県岩国市）」分類「純米大吟醸酒」原料米「山田錦」使用酵母「不明」精米歩合「２３％」アルコール度数「１６度」日本酒度「不明」酸度「不明」情報公開度（瓶表示）「△」標準小売価格（税込）「７２０ｍｌ＝６２７０円」評価「★★★★★（９９点！）」 close

山口「獺祭　純米大吟醸　磨き二割三分」高純度で高貴な甘旨味がクリスタルな世界を描く