福島・会津で美酒を醸す国権酒造さんのお酒をまとめて取り寄せて、いただくことにしました。 　１本目はこれです。 　「国権（こっけん）垂れ口　純米　生原酒」。 　国権酒造は５月に開かれた全国新酒鑑評会で金賞を獲得し、金賞連続記録を１２年まで伸ばしました。 　現在、連続記録の最…… more 長は宮城・川敬商店の１６年連続で、それに続くのが１２年連続の国権酒造、青森・桃川、宮城・中勇酒造店です。 　福島県で最も長い連続記録を持っているということで、空太郎はＳＡＫＥＴＩＭＥＳに記事を書きましたが、その時点では１１年連続で、５月の結果がわからない段階でしたが、その時、蔵元杜氏の細井信浩さんと杜氏の佐藤吉宏さんは鑑評会について次のように話していました。 ＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊ 　金賞は取ろうと思って取れるものではありません。 　金賞を取れなかった年の酒と取れた年の酒に明確な違いはないし、鑑評会の基準も年々微妙に変わっていきます。 　だから、目指しているのは欠点をすべてそぎ落とした酒です。 　鑑評会の結果は表向きには金賞と入賞が明らかになるだけですが、各蔵には審査員が指摘した問題点というものが送られてきます。 　「香り離れ」「もたつく」「後切れが苦い」「火入れが遅い」といったものです。 　そうかもしれないな、と思うこともあるし、いや、そうかなあ、と反発を感じることもあります。 　ただ、官能が１００％の人はいないので、基本的には謙虚に受け止めて、では、来年はどう対応しようかを二人で議論します。 　あと、一番悩むのは、広島の酒類総合研究所に送ってから、実際に審査されるのが１ヶ月も先なので、その時間の経過で微妙に味が変化することも想像しておかなければならないことです。 　最終的にどれを出品するかは二人で議論して２点にまで絞り、そのどちらにするかは蔵元が決めています。 ＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊ 　さて、実際に取り寄せたのは、こうした出品酒造りで培った技術をフィードバックした市販のお酒です。 　１本目は６０％精米の純米酒、無濾過生原酒です。 　いただきます。 　上立ち香は生酒特有のフレッシュな麹バナの香りがほんのりと。 　口に含むと、中程度の大きさの旨味の塊が、平滑になった表面に粉雪を乗せて、サラサラな感触をアピールしながら、転がり込んできます。 　受け止めて舌の上で転がすと、躍動感溢れる態度で急ピッチで膨らみ、拡散しながら、適度な大きさのガラス球様の粒粒を連射してきます。 　粒から滲出してくるのは甘味７割、旨味３割。 　甘味はザラメ糖の気持ちコクを秘めた印象、旨味はシンプルで、両者は元気よくほっこりとした味わいの世界を描くのです。 　流れてくる含み香はうす甘い砂糖系の香りで薄化粧を付与。 　後から来るのは乳酸系の酸味が相当量で、ただちに甘旨味と溶け合い、味わいをヨーグルトの世界へと変えていくのです。 　エネルギッシュさを維持したまま、終盤になると反転縮小して、そのまま一気に昇華していきました。 　切れの良い生酒でした。 　それでは国権酒造のお酒、２本目に参ります。 ＊一升三千円以下の美酒に登録します。 お酒の情報（１９年１５８銘柄目） 銘柄名「国権（こっけん）垂れ口　純米　生原酒　２０１８ＢＹ」 酒蔵「国権酒造（福島県南会津町）」 分類「純米酒」「無濾過酒」「生酒」「原酒」 原料米「美山錦」 使用酵母「不明」 精米歩合「６０％」 アルコール度数「１７～１８度」 日本酒度「不明」 酸度「不明」 情報公開度（瓶表示）「△」 標準小売価格（税抜）「１８００ｍｌ＝２７００円」 評価「★★★★★（４．２点）」 close

福島・会津の美酒三昧①「国権　垂れ口　純米　生原酒」ほっこりとした甘旨味が、酸味とともにヨーグルトの世界を描く