栃木県が開発した新しい酒造好適米「夢ささら」を使ったお酒をまとめて取り寄せて、飲み比べることにしました。 　２本目はこれです。 　「若駒（わかこま）純米吟醸　無濾過生原酒」。 　小山市の若駒酒造さんが醸しているお酒です。 　夢ささらも他県の新しい酒米同様、山田錦の長所を維…… more 持しつつ、弱みを減らすという目的で開発されているので、特性については基本的に山田錦と比較して、次のように説明しています。 ＊山田錦より出穂期で５日、成熟期で７日程度早い晩生種 →山田錦は酒米の中でダントツに晩生で、それよりは早いということで、台風による被害を山田錦よりは多少回避できるということです。 ＊山田錦に比べて稈長は短く、穂長は長い。穂数は少なく千粒重は同程度であるが、収量は同程度からやや低収 →稈長が短いということは台風などの風で倒伏しにくいことを意味し、農家にとってはありがたいことですが、単位面積当たりの収量が微妙に少ないことを農家はどう感じるか。 ＊耐倒伏性は山田錦より強い“強” →やはり、ここを改めて強調しています。 ＊イネ縞葉枯病に対し抵抗性がある →これは山田錦と優劣がないということです。 ＊心白発現率が高く、高精白時の砕米が少ない →これも優劣がないようです。でも、そうであれば、とちぎ酒１４よりははるかに削れて３０％とかもＯＫなのだと思われます。 　さて、２本目のお酒を醸した若駒酒造の蔵元杜氏の柏瀬幸裕さんは次のように話しています。 ＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊ 　今回は５５％精米でのスタートになりましたが、やはり、これでは個性が出し切れない印象です。 　県では、さらに磨くことも念頭に開発してくれたようですが、うちはあまり削らない純米酒に軸足を移しつつあるので、逆に８０％精米や９０％精米に挑戦したいと思っています。 　やるからには来季、一番乗りでやりますよ。 ＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊ 　若駒は一回火入れではなく、生原酒での出荷です。 　いただきます。 　上立ち香は酒エキスの香りがほんのりと。 　口に含むと中程度の大きさの旨味の塊が、平滑になった表面を砂消しゴムのような感触に仕上げて、まっしぐらに転がり込んできます。 　受け止めて舌の上で転がすと、促されるままにキビキビとした態度で一気に膨らみ、拡散しながら、適度な大きさのガラス球様の粒粒を連射してきます。 　粒から現出してくるのは甘味６割、旨味４割。 　甘味は上白糖系の流麗なタイプ、旨味も単純で、両者は静まり返った舞台の上で、硬質な舞いを披露します。 　流れてくる含み香は淡くて地味な香りで甘旨味に付着。 　後から来る渋味はそれなりにメリハリをつけますが、甘旨味の単調な踊りは続くのです。 　最後に飲み下した後の余韻は短くスパッと切れたものでした。 　それでは夢ささらのお酒、３本目に参ります。 お酒の情報（１９年１５１銘柄目） 銘柄名「若駒（わかこま）純米吟醸　無濾過生原酒　２０１８ＢＹ」 酒蔵「若駒酒造（栃木県小山市）」 分類「純米吟醸酒」 原料米「夢ささら」 使用酵母「Ｔ－ＮＤ酵母」 精米歩合「５５％」 アルコール度数「１５度」 日本酒度「不明」 酸度「不明」 情報公開度（瓶表示）「○」 標準小売価格（税抜）「１８００ｍｌ＝３０００円」 評価「★★★★★（４．１点）」 close

栃木期待の酒米酒三昧②「若駒　純米吟醸　無濾過生原酒」硬質なイメージの甘旨味が淡い香りを引き連れて単調に舞い、渋味が幕引き役を担う