栃木県が開発した新しい酒造好適米「夢ささら」を使ったお酒をまとめて取り寄せて、飲み比べることにしました。 　１本目はこれです。 　「朝日榮（あさひさかえ）純米吟醸　試験醸造」。 　栃木市の相良酒造さんが醸しているお酒です。 　栃木県は２００７年にとちぎ酒１４を品種登録しま…… more した。 　多くの酒蔵が使っているものの、削りすぎると割れてしまうため、純米酒には向くものの、純米吟醸や純米大吟醸には不向きでした。 　このため、とちぎ酒１４の開発と平行して、吟醸酒向けでかつ、酒米の王様の山田錦に対抗できる品種の開発に２００５年に着手しました。 　試行錯誤の結果、山田錦を母に、Ｔ酒２５を父に交配した米が優秀であることがわかり、これをくり返し改良して、今回、夢ささらの名称で品種登録しました。 　１本目の朝日榮は、相良酒造の蔵元杜氏の相良沙奈恵さんが醸したものです。 　相良さんは毎年、新たなチャレンジをひとつすることを決めており、それに試験醸造と表示します。 　３０ＢＹは初めて使う夢ささらを試験醸造に位置づけました。 　相良さんは次のように話しています。 ＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊ 　もちろん、仕込みは１本です。 　やってみると、思いのほか溶けが進んだので適度に追い水をしました。 　結果として度数も低めで軽い味わいになりました。 　使ってみての夢ささらは、綺麗だけど柔らかめの味になるなあと思いました。 　来季以降も使うかどうかはまだ決めかねていますが、やるならより明快な吟醸酒にしたいと思います。 ＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊ 　５５％精米の一回火入れ酒です。 　いただきます。 　上立ち香は酒エキスの香りが少々、チリチリと。 　玩味すると中程度の大きさの旨味の塊が、平滑になった表面にパウダースノーを乗せて、思い切りサラサラな感触を振り撒きながら、まっしぐらに転がり込んできます。 　受け止めて舌の上で転がすと、促されるままにゆったりとしたペースで膨らみ、拡散しながら、適度な大きさのガラス球様の粒粒を速射してきます。 　粒から滲み出てくるのは甘味６割、旨味４割。 　甘味は上白糖系のさらりとしたタイプ、旨味はシンプルで自己を主張せずに甘味の舞いに寄り添うのです。 　流れてくる含み香はマスカット系の仄かなジューシーの香りで薄化粧を付与し、味わいは気持ち華やかさを増し、後から来る適量の渋味が薄氷の輪郭を形成。 　味わいは終盤まで端正な引き締まった状態を維持し、飲み下した後の余韻も細めでした。 　それでは夢ささらのお酒、２本目に参ります。 ＊一升三千円以下の美酒に登録します。 お酒の情報（１９年１５０銘柄目） 銘柄名「朝日榮（あさひさかえ）純米吟醸　試験醸造　２０１８ＢＹ」 酒蔵「相良酒造（栃木県栃木市）」 分類「純米吟醸酒」 原料米「夢ささら」 使用酵母「不明」 精米歩合「５５％」 アルコール度数「１５度」 日本酒度「不明」 酸度「不明」 情報公開度（瓶表示）「△」 標準小売価格（税抜）「１８００ｍｌ＝２９００円」 評価「★★★★★（４．３点）」 close

栃木期待の酒米酒三昧①「朝日榮　純米吟醸　試験醸造」朝露のような甘旨味をマスカットの香りが飾り、渋味がトリを受け持つ