忍者の里、甲賀で美酒を醸す美冨久酒造さんのお酒をまとめて取り寄せて、じっくりと味わいを堪能することにしました。 　４本目はこれです。 　「三連星（さんれんせい）純米大吟醸　無濾過生原酒　滋賀渡船６号」。 　三連星のブランドは立ち上がりはそこまできちんとしたコンセプトではな…… more かったように思いますが、現在は次のように説明をしています。 　すべて「３」に引っ掛けています。 　３人の新世代蔵人で醸す酒 　３つの酒質とタイプで醸す酒 　３種類の滋賀県産酒米で醸す酒 　過去３代受け継がれてきた伝承に敬意を表し、 　すべての３が連なり、星のごとく輝ける酒を目指して。 　ということで定番は以下の３つになります。 ＊純米酒　 　＝滋賀県産吟吹雪使用＝キレと酸の黒～キレ良し。インパクト大の力強い味わい。 ＊純米吟醸酒　 　＝滋賀県産山田錦使用＝バランスと旨みの白～程よい香りとしっかりとした旨み。最後はキレの良さで勝負。 ＊純米大吟醸酒　 　＝滋賀県産滋賀渡船６号使用＝華やぎとふくらみの赤～無濾過生にして軽快で爽やか。渡船が導く滋賀酒の妙味。 　三連星は入門酒でわかりやすい酒を目指して、立ち上がりの酵母はきょうかい１８０１号ときょうかい９０１号のブレンドでスタート。 　その後、３，４年前からは純米がきょうかい１４０１号に、純米吟醸と純米大吟醸はきょうかい１９０１号に切り替えています。 　３つは定番で通年商品ですが、全量が無濾過生原酒です。 　あと、ごく１部の番外品があります。 　さて、そういうわけで４本目は、滋賀渡船６号の５０％精米です。 　シリーズのハイエンド商品です。 　いただきます。 　上立ち香はデリシャスリンゴのフルーティーな香りがたっぷりと。 　口に含むと中程度の大きさの旨味の塊が、平滑になった表面に油膜を乗せて、まっしぐらに忍び入ってきます。 　受け止めて舌の上で転がすと、促されるままにリズミカルに膨らみ、拡散しながら、適度な大きさのガラス球様の粒粒を連射してきます。 　粒から滲み出てくるのは甘味８割、旨味２割。 　甘味はややコクを含んだザラメ糖系のタイプ、旨味は中濃でマーブルな印象で、両者は前後左右だけでなく、ふわふわと浮遊して立体的な舞いを展開するのです。 　流れてくる含み香も、カプロン酸エチルの派手めの香りで飾りたて。 　後から来る酸味と渋味は少量で、薄氷の輪郭を作るのみ。 　甘旨味は自律的に自由自在に踊り、終盤になると不思議な艶を含んだ味わいを膨らませて、周囲に放ち、飲み下した後の余韻も長く残るのでした。 　それでは美冨久酒造の酒、最後の５本目に参ります。 お酒の情報（１９年１４５銘柄目） 銘柄名「三連星（さんれんせい）純米大吟醸　無濾過生原酒　滋賀渡船６号　２０１８ＢＹ」 酒蔵「美冨久酒造（滋賀県甲賀市）」 分類「純米大吟醸酒」「無濾過酒」「生酒」「原酒」 原料米「滋賀渡船６号」 使用酵母「不明」 精米歩合「５０％」 アルコール度数「１６度」 日本酒度「＋２．７」 酸度「１．６」 情報公開度（瓶表示）「○」 標準小売価格（税抜）「１８００ｍｌ＝３９００円」 評価「★★★★（４．４点）」 close

甲賀の美酒④滋賀「三連星　純米大吟醸　無濾過生原酒　滋賀渡船６号」サシの入った甘旨味が立体的な踊りを披露し、終盤になると不思議な余韻を膨らませてから昇華する