自宅の晩酌にお酒を選びました。 　これです。 　「賀茂鶴（かもつる）恋のしずく　純米」。 　広島県東広島市の賀茂鶴酒造さんが醸しているお酒です。 　このお酒は昨年秋に公開された映画「恋のしずく」に合わせて、映画の舞台になった東広島市西条の酒蔵８軒が足並みを揃えて発売をした…… more 記念ボトルのお酒の一つです。 　映画は元ＡＫＢの川栄李奈さんが扮する女子大生が、嫌々やってきた日本酒の研修先の酒蔵を舞台に、日本酒の美味しさ、魅力に目覚めていく様を描いた作品です。 　空太郎も観に行きましたが、ヒロインの演技はなかなかでした。 　ただし、ロケに使った酒蔵さんが最近の先進地酒蔵が取り入れているやり方をまったく採用していないので、 　「日本酒蔵が変わりつつある」というイメージが全然表現されていない点はがっかりでした。 　さて、それでお酒の方ですが、表ラベルのデザインは８蔵で統一し、背景にある花びらの色を変えています。 　また、スペックについても統一せず、純米、純米吟醸、純米大吟醸の３種類が渾然となっています。 　賀茂鶴酒造は６９％精米の純米酒で商品化しています。 　もちろん、火入れです。 　いただきます。 　上立ち香は感じず。 　玩味すると中程度の大きさの旨味の塊が、表面にぶ厚くとろみ層を乗せて、それを波立たせながら、滑り込んできます。 　受け止めて保持すると、促されるままにゆっくりとしたテンポで膨らみ、拡散しながら、やや大ぶりでウエットな粒粒を次々と射掛けてきます。 　粒から現出してくるのは甘味７割、旨味３割。 　甘味はややねっとりとした飴っぽい印象、旨味はブヨブヨの脂身を思わせるタイプで、両者は重々しく徘徊を始めるのです。 　流れてくる含み香は芳しい甘い香りに火冷め臭が入り混じって。 　後から酸味や渋味は現れず、刺激のないまま終盤まで甘旨味の単調な徘徊が続き、飲み下した後の余韻もぼーっと伸びるものでした。 　イベント関連の企画酒の限界を感じるのでした。 お酒の情報（１９年８９銘柄目） 銘柄名「賀茂鶴（かもつる）恋のしずく　純米　２０１７ＢＹ」 酒蔵「賀茂鶴酒造（広島県東広島市）」 分類「純米酒」 原料米「不明」 使用酵母「不明」 精米歩合「６９％」 アルコール度数「１５～１６度」 日本酒度「不明」 酸度「不明」 情報公開度（瓶表示）「△」 標準小売価格（税抜）「７２０ｍｌ＝１３００円」 評価「★★★★（４．０点）」 close

広島「賀茂鶴　恋のしずく　純米」ブヨブヨの脂身を思わせる甘旨味がぼんやりと徘徊する