荒木町の人気銘酒居酒屋の居酒屋純ちゃんにお邪魔しました。 　２５種類飲んだ中で気になったお酒をいくつか紹介します。 　２本目はこれです。 　「寫楽（しゃらく）純米吟醸　夏吟うすにごり」。 　福島県会津若松市の宮泉銘醸さんが醸しているお酒です。 　宮泉銘醸は今年の全国新酒…… more 鑑評会において、金賞を獲得しました。 　昨年まで４年連続して入賞にさえ入っていなかったので、てっきり、一部の有力蔵同様、鑑評会には出品するのをやめたのではないか、と思っていたので、空太郎は早速、蔵元社長の宮森義弘さんにお祝いのメールを送ったのです。 　すると、返ってきたメールには次のような趣旨のことが書かれていたのです。 ＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊ 　鑑評会に出品するための特別な大吟醸を造るのは止めています。 　普通に市販している大吟醸の中から、仕上がりのいい酒を選んで出しているだけです。 　このため、はずれて当たり前と思っていますし、実際、４年連続はずれでした。 　５年ぶりに当たりました。 　驚くと同時に、市販酒で取れた喜びもありますね。 ＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊ 　宮泉銘醸のように市販酒を出品している蔵がほかには皆無、かどうかはわかりませんが、ほとんどの酒蔵が２月の１番寒い時期に、手塩にかけて、特別な仕込みをして賞を狙っているので、今回のお話は新鮮で、驚きでした。 　宮泉銘醸の実力振りを証明しています。 　恐れ入りました。 　さて、今夜のお酒は５０％精米で麹米に山田錦、掛米に夢の香を使った純米吟醸の夏酒バージョンです。 　いただきます。 　上立ち香には甘味と酒エキスの香りがバランスよく漂ってきます。 　玩味すると中程度の大きさの旨味の塊が、よく磨きこんだ表面に産毛を乗せて、まっしぐらに駆け込んできます。 　受け止めて保持すると、促される前に自主的に膨らみ、拡散しながら、適度な大きさの澄み切った粒々を速射してきます。 　粒から現出してくるのは甘味７割、旨味３割。 　甘味は上白糖のサラリとした流動性のある印象、旨味はシンプルで痩身なタイプで、両者は足並みを揃えて、よく鍛えられたスレンダーな舞いを披露します。 　流れてくる含み香は酢酸イソアミルの爽やかな香りで、薄化粧を付与。 　後から少量の酸味が現われて、甘旨味の舞いにタイミングを合わせながらメリハリをつけ、味わいは適度な広がりを維持しながら、終盤に向かってゆっくりと縮退し、飲み下した後の余韻も爽快なものでした。 　安定的な仕上がりに脱帽です。 お酒の情報（１８年１５７銘柄目） 銘柄名「寫楽（しゃらく）純米吟醸　夏吟うすにごり　２９ＢＹ」 酒蔵「宮泉銘醸（福島県会津若松市）」 分類「純米吟醸酒」「一回火入れ酒」 原料米「麹米＝山田錦、掛米＝夢の香」 使用酵母「不明」 精米歩合「５０％」 アルコール度数「１５度」 日本酒度「不明」 酸度「不明」 情報公開度（瓶表示）「△」 標準小売価格（税抜）「１８００ｍｌ＝３７００円」 評価「★★★★（４．４点）」 close

福島「寫楽　純米吟醸　夏吟　うすにごり」よく鍛えられたスレンダーな甘旨味が切れ味よく踊り、酸味がメリハリをつける