自宅の晩酌にお酒を選びました。これです。「角右衛門（かくえもん）純米吟醸　五百万石仕込」。秋田県湯沢市の木村酒造さんが醸しているお酒です。 木村酒造の酒造りは１０人で担っていますが、うち５人は地元農家の季節雇用の方々です。稲刈りが終わると蔵に入り、春の甑倒しまで酒造りに…… more 参加しています。このため、酒造りも１１月から４月までの半年間に集中して行う格好になっています。杜氏は佐藤時習さん。先代杜氏の高橋廣氏の薫陶を受けて数年前にバトンを引き継いでいます。ベテラン杜氏の教えを受けたわけですが、佐藤さんは「酒造りに臨む時、杜氏ではなく技術者という意識で取り組んでいます」と言い、「代々の杜氏が引き継いできた匠の技という土台に、科学的知識と技術を盛り込んだハイブリッド醸造を目指しています」と話しています。 いただくお酒は五百万石５５％精米の純米吟醸です。上立ち香は朗らかで優しい甘い香りがほんのりと。口に含むと中程度の大きさの旨味の塊が、よく磨き込んで鏡のようになった表面に打ち粉を振って、サラサラな感触を振りまきながら、軽快なテンポで滑り込んできます。 受け止めて保持すると、自律的に膨らみ、拡散しながら、適度な大きさのガラス球様の粒々を連射してきます。粒から滲み出てくるのは甘味７割、旨味３割。甘味は上白糖系の乾いたタイプ、旨味はシンプル無垢で純朴な印象で、両者は足並みを揃えて、バランス良くデリケートに踊ります。 流れてくる含み香は多彩でカラフルな甘い香りでデコレート。後から酸味と渋味が少量現れて、味わいにくっきりとしたメリハリを付けながら、甘旨味の舞いに従います。 味わいは終盤まで均整の取れたハーモニーが続き、最後は一転して縮退し、そのままの勢いで喉の奥へと滑り込んでいきました。極上の味わいでした。 お酒の情報（２２年２５１銘柄目）銘柄名「角右衛門（かくえもん）純米吟醸　五百万石仕込　２０２１ＢＹ」酒蔵「木村酒造（秋田県湯沢市）」分類「純米吟醸酒」原料米「五百万石」使用酵母「ＡＫＩＴＡ雪国酵母ＵＴ－１」精米歩合「５５％」アルコール度数「１６．５度」日本酒度「＋１」酸度「１．５」情報公開度（瓶表示）「◎」標準小売価格（税込）「１８００ｍｌ＝３０８０円」評価「★★★★★（９８点）」  close

秋田「角右衛門　純米吟醸　五百万石」バランスのよい甘旨味が、酸渋を従えて、健康的な舞いを披露する