突然ですが、小企画です。新潟のアンテナショップに行ったので、地元民のデイリー酒っぽいものをまとめて買ってきました。アル添、1000円前後、クラシックなラベルという縛りです。もうすでにやっていますが鶴の友なんかもこのくくりに入ってくるお酒ですね。1本目は越乃男山。知らない方も多いで…… more しょうが、あべの蔵元です。ネットで拾った情報ですと、普通酒ですが県産米60、10号酵母らしい。1040円でした。滑らかさはありますし旨味もあるっちゃあるので、端麗というよりも飲み飽きしない旨口とはなるのでしょうが、冷やして飲むような感じではないですね。冷やすにしてもあまーく、常温に近いくらいのところで。味の強さみたいなものは無いので、こういった物の中でもわかりにくく、わざわざ買い求めて飲むようなお酒ではないと思います。ただしスカスカで薄いというわけではなく、しっかり滑らかで弾力は感じるので、こういう需要に合わせているのでしょう。ややシャープというか軽快に、最初から最後まで軽いキレ感みたいなものがあって、人によってはそこが苦みに感じられるかもしれません。熟成感もそう強くはないかなあ。メイラードな感じとカスタード、また甘みが本当に抑えた感じで優しく出てきます。滑らかでゆったりしたふくよかさのあるボディに、微妙に酸味とキレ感で少しミネラリーというか金気。プレーンというか、そっけないというのか、いい意味で水っぽいのか。そういったような旨味感がそーっと残る余韻は存外長いです。ある意味清らかと言えますかねえ。嫌いではない。というかご飯がしっかりしたものなら別にこれで不満ない。もう少しお米の旨味が欲しいなあという気もするのですが、さすがに質は悪くありません。たとえば白隠正宗とかが言うようなダラダラ飲めるお酒というのが、程度の差はあれこういうお酒なのかなと。ぬる燗。ひと口目はシャープなキレがやや目立ちますね。一方で程よい緩さでほわほわ円い甘み、少し酸の爽やかさも感じます。トロっとしつつ小気味よい球体のまとまり。徳利でお燗をつけてもらってだらだらやりつつ、冷めて来ても全然かえっていいよねっていう。まあぬる燗が美味しいのかな～。虚飾のない素朴なお米の味わいが感じとれるなら常温でも非常にグッドですが。ほんと飲んでいて好きになってきた。熟成の浅い、少しあじの穏やかな一ノ蔵ふゆみずたんぼ火入れとかそんな感じか最近だと。あれ記事にしてねえか。なるほどねえ。ライフスタイルが違うお酒という表現になるのかな？田舎で早めの仕事上がりとかがあってさ、嫁さんが地元の食材を料理して家で待ってくれていて、夕方から庭でも眺めながら飲むみたいな。そんな世界観だったら完全無欠のお酒でしょうね。僕は比較的そういう雰囲気が想像できる育ちだったので。。ただ東京で20代から40代くらいの人が、電車通勤の仕事終わりで20時21時に、こういう物を求めるという絵は思い浮ばない。軽やかでやや厚口の大きすぎないぐい吞みで出したい。わざわざ買えというお酒じゃないし、この銘柄じゃないとダメと言うほどの物でもない。それでもこういったお酒の良さは確実にあると思います。実際こういうお酒（あるいは辨天娘とか日置桜とかでも）とかが常備されていれば、酒ライフがある程度満たされるようになってきている。加えて週に1本くらい気分に合わせて色んな日本酒を選んで、月に2本くらい本気でブルゴーニュでも飲むみたいな。願わくばこういうスタイルの日本酒も残していってほしい。別に新政でも光栄菊でも産土もいいんだけど、こういうのものとか大吟醸といったような昭和の遺産も残していこうよと。昔のものがきちんと評価できないと、劣化したものしか生まれてこないよ。 close

越乃男山 佳撰 (新潟のクラシックラベル酒を飲む①)