no.1668鶯谷に萬屋さんという菊姫屋な酒屋があります。一方でカジュアルなワインやチーズなんかも売っていたりする楽しいお店です。そこが毎年この時期に出している樽酒。他にも限定ものも出しているくらいの菊姫屋なのですが、これは中身は普通酒の『姫』らしいです。どちらかというとココの限…… more 定、というよりは菊姫から樽酒を仕入れて小分けにして出しているというイメージかな？なので中身もはっきりと書いてあるわけでもないしデータは割愛。僕は樽酒は好きなので、年末気分ということもあり喜び勇んで買ってきました。もとの『姫』が14度～15度の加水調整らしいので軽いは軽いですね。というかこの姫という商品は、アル添どころか糖類添加という変なこだわりのある人からすると卒倒しそうなスペックですが、ファンも多いというお酒です。樽酒の香りははっきりとついていて、ウッディさからくるようなある種のカラフルさがフルーティといってもいいくらい。普通酒、というか糖類添加だかなのか、わりと甘みをはっきり感じ、そこに酸味と軽快さ樽香もあるのでともすると瑞々しく軽やか。それでも樽からうつったようなややタニック、わずかな収斂味からつながるように、じんわりと辛口な響きもあります。さらにその中にさすがに1年～2年熟成（複数年ブレンド）というような旨味も感じられます。若干糖類添加系のカカオ的なコクのある甘さもありつつ、菊姫らしい酸とエキスの熟成味みたいなのがフィニッシュの時にふっと感じられる。たしかに明確に菊姫です。原料米として一部もち米を使っているらしいのですが、それも安いというよりはおそらく、4段仕込みとかやってる蔵と同じようなテクニックで、コクを出すためにわざとやっているんでしょうね。たぶん糖類添加とセットでただのコスト削減ではなく、ある種の味わいを実現するための有効なテクニックなんでしょう。う～ん、うまい！今年の正月か、菊正宗の樽酒をやって結構おいしいよねーなんて話をしたらやっぱりそう思っている人がちらほらいるみたいでしたけども。僕は本当に樽酒が好きなので、もっと流行ってほしいね。自分で樽買ってつけるか、スティックみたいなの買って自作しろって話なんだろうけど。しかしかなり飲みやすい。わりと流行りの物を飲んでいる人にもなじみのあるような甘み感でもあり、軽快ながらコクや深みもあるような好ましいくちどけ。そのあたりの微妙なグラデーションはお見事すぎる。それでいて酸味とか、らしい旨味感もある。あくまで14度の普通酒として調整してあるお酒ですが菊姫らしさは感じるのと。あとはやっぱり糖類添加も一つの技というか、きちんと美味しくなるからやってるんでしょうね。絶滅寸前ですが受け継いでいってほしい技。もとのお酒がかなり楽しいんだと思いますが、その樽酒なんですから美味くないわけがない！いろんな温度帯で楽しめるのでしょうが、普通に冷やしてグビグビいっちゃうぜ。しかし真澄の樽酒とかもそうだけど酒屋ももっとやればいいのにね。樽につけたものを店で小分けにして売れるなんてのは酒屋の特権じゃないだろうか。昔の人は偉大なもので、やっぱりお酒を美味しくする力があるんですよ。ここ数年の流行りの酸味の強いものには合わないだろうけど、甘みの強いものとは合うのでカプ系なんかも樽に詰めて美味しいものありそうだけどね。うーんでもこれ樽がないとちょっと重いかもね。それだけに凄く良い。 close

菊姫 樽酒