岐阜県中津川市から北海道東川町に酒蔵を移転した三千櫻酒造のお酒をまとめて取り寄せて飲み比べることにしました。３本目はこれです。「三千櫻（みちざくら）純米吟醸　彗星」。 三千櫻酒造が北海道に移転した一番大きな理由は、「温暖化の進行で北海道が酒米の適地になっていく」との山田…… more 耕司蔵元の見通しからでした。そして、移転を視野に入れて、きたしずくを使った所、いい出来のお酒ができたのです。 なので、東川町に移ってきて、町内産のきたしずくを使うのはもちろんですが、さらに北海道産の酒造好適米の彗星も今季から使い始めています。山田さんのお話です。＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊他の酒蔵さんに尋ねると、きたしずくと比べて彗星は米が硬くて溶けにくいという評価でした。実際に使ってみると溶けにくくて味が出ないんですよ。搾ったお酒はあっさりしすぎる傾向にありますね。 それでも、うちの彗星のお酒は道内の他の酒蔵さんが造る彗星のお酒よりも味が出ている方のようです。うちは酒のラインナップとして複数の酒米が必要ですが、もう一つの北海道の酒米の吟風はあまりいい評判を聞かないのでパスして、いま、道庁が開発中の次の酒造好適米に期待しています。＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊今季は使った米の７割程度が東川町産の米だそうです。やはり、地酒を標榜するためにも、今の水準は維持したいそうです。 そういうわけで、３本目は彗星を使った５５％精米の純米吟醸酒、一回火入れです。上立ち香はやや硬めの酒エキスの香りが。口に含むと中程度の大きさの旨味の塊が、平滑になった表面にベビーパウダーをはたいて、サラサラな感触をアピールしながら、まっしぐらに滑り込んできます。 受け止めて保持すると、促されるままに淡々と膨らみ、拡散しながら、適度な大きさのガラス球様の粒々を速射してきます。粒から滲出してくるのは甘味６割、旨味４割。甘味はザラメ糖系のややとろりとした印象、旨味は２～３種類のコクを織り上げたタイプで、両者は足並みを揃えて、モチっとした太めのハーモニーを奏でます。 流れてくる含み香は抑制の効いたヘルシーな香りで薄化粧を付与。後から渋味が適量現われて味わいにメリハリを付与。しかし、甘旨味は動じず、活力を上げることなく、静々と蕩ける舞いに終始するのでした。飲み下した後の余韻は気持ち長いものでした。それでは、三千櫻酒造の新天地のお酒、最後の４本目に参ります。 お酒の情報（２１年１９２銘柄目）銘柄名「三千櫻（みちざくら）純米吟醸　彗星　２０２０ＢＹ」酒蔵「三千櫻酒造（北海道東川町）」分類「純米吟醸酒」「一回火入れ酒」原料米「彗星」使用酵母「不明」精米歩合「５５％」アルコール度数「１５度」日本酒度「不明」酸度「不明」情報公開度（瓶表示）「△」標準小売価格（税込）「１８００ｍｌ＝３１３６円」評価「★★★★（４．４点＝９３点）」 close

北海道「三千櫻　純米吟醸　彗星」小太りの甘旨味がモチっとした蕩ける踊りを披露する