皆さんは、日本酒の味わいを誰かに伝えようとしたとき、「難しい」「伝えにくい」と感じたことはありませんか？「フルーティーな」「炊きたてのお米のような」といったように、香りや味わいに関して、日本酒に対する表現はさまざまです。人によってその感じ方の振れ幅も異なり、複雑性の高さが日本酒の…… more 魅力の一つだとも言えます。 　 ですが、今回はそんな日本酒を、よりわかりやすく伝えるべく、イラストレーターの方に日本酒を飲んでいただき、抱いた印象をイラストに起こしてもらう企画、題して「日本酒擬人化企画」を始めます！ 　　 普段は言葉でしか表すことのない日本酒の味わいを、視覚で表現＆擬人化したイラストの数々をご紹介します！ 　 【関連記事】 ・【第2回】もしも人気イラストレーターが、日本酒の味わいを擬人化して描いたら― ・【第3回】もしも人気イラストレーターが、日本酒の味わいを擬人化して描いたら― 　 もしもイラストレーターが、日本酒の味わいを擬人化して描いたら…… というわけで、今回「日本酒擬人化企画」と称し、KURAND　SAKE MARKET渋谷店に5人のイラストレーターの方に集まっていただきました！ 　 ご協力いただいたのは、イラストレーターたちが面白く楽しいイラスト・キャラクターを発表し、切磋琢磨する お笑いイラスト・イラストレーターのポータルサイト『ワラスト』に所属するイラストレーターの皆さんです。 　 室木おすし イラストレーター　オモコロライター（オモコロではラジオもやってます）GIF動画家。WEBサイトのジモコロやパチ７でも記事連載中。カナダに行ったことがないのでカナダについては全く詳しくない一面も。 室木おすしHP なとみみわ 愛するものは、酒と古事記と岡村靖幸。ダイエットとリバウンドをくり返すアラフォーイラストレーター。アメブロ公式トップブロガー（介護・家族ブログ） 公式ブログ なとみみわHP つぼいひろき プロボクサー、印刷会社営業を経て、02年よりフリー。時代が不透明と言うなら、ボクはそこに明るい色を塗りたい…なんちゃって 〜(笑)。最近は毎日カニを描いてツイッターにアップしています。 つぼいのつぼやきTwitter（@tsubotter15） つぼいひろきHP オゼキイサム いろんなテーマに対してコミカルな視点からのイラストを描いてます。テレビ番組や、書籍、広告、web等のイラストを中心に活動中。絶賛お仕事募集中です。HP上にて毎月15日、30日に一コマ漫画を更新中です。 オゼキイサムHP オオノマサフミ 取るに足らないイラストレーター。2児の父。美容師→バンドマン→編集者→広告制作と、憧れランク上位（主観）の職につくも、みな頓挫。そしてイラストレーターに落ち着き心の平穏を取り戻す。教養のない1コマ漫画を平日の9時頃にアップしている。 オオノマサフミHP 教養のない1コマ漫画 　 「日本酒擬人化」の流れとルール 日本酒の味わいを擬人化するにあたって、KURANDマガジン編集部で企画の流れとルールを決めました。 　 それがこちら。 　 「日本酒擬人化企画」の流れ ・まずは、日本酒を試飲します。 ・日本酒の味わいをイラストで表現してください。 ・お互いのイラストを見せ合います。 ・なぜ、そのイラストのようなキャラを描いたのかを各自プレゼンします。 ・披露されたイラストを見ながらディスカッションをします。 ・最後に、誰のイラストがその日本酒の味わいを表現できているか投票します。 「日本酒擬人化企画」のルール ・先入観なく、自分の感じた味わいをそのままイラストに表現してください。 ・お互いのイラストを見るまでは、味わいに関する会話は厳禁です。 ・プレゼン内容は、自由にコメントしていただいてOKです。 　 さて、この流れとルールにのっとって、早速企画スタート！ 　 「普段から日本酒は飲みますか？」という問いに対しては…… っとその前に、事前に「普段から日本酒は飲みますか？」という質問をしてみました。例えば、なとみさんとオオノさんは、 　 大好きです！ 　 僕は普段はあまり……。酔っぱらわないか心配です。 　 といったように、どうやら日本酒を普段から飲む方と飲まない方とがいるようです。飲み慣れているのかどうかが、イラストにどう反映されるのかも、注目したいポイントです！ 　 1本目！今回飲んでいただくのは…… 今回飲んでいただいたのは、石川県・数馬酒造の「KAZMA 特別純米酒」。ラベルが印象的な1本であり、KURAND SAKE MARKETでも人気のKURAND限定酒です。 　 「カンパーイ！」 　 おすしさん、口の中で味をゆっくりと確かめています。 　 つぼいさんは、香りを確認するようにお猪口を揺らしていました。 　 皆さん味わいを確かめると、丁寧にスケッチブックへ向かいます。 　 日本酒×擬人化、いよいよ発表へ！ まず発表してくださったのは、なとみさん。スケッチブックをくるりと返すと… 　 　 私は飲んだとき、キリッとしているんだけど、少し甘さも感じたので、『ツンデレ女子』っぽい、保健室の先生みたいな、セクシーだけど、年下の男の子に甘い先生を描いてみました。 　 一同から、「おおーっ！」と歓声が上がります！ 　 絶対巨乳、っていうね。自分が可愛いのわかってる、ちょっとあざといタイプの女性ね。 　 相当セクシーじゃない？ 　 下の黒いインナーも気になりますよね。 　 あまり描いたことないからちょっと緊張したんだけどね。 　 日本酒の甘さを色っぽい女性教師として擬人化してくださったなとみさん、「実はけっこう悩んで、何度か描き直してます。」と笑顔で話してくれました。 　 この流れで見せてもいいかな？　ちょっとなとみさんとかぶってるところあるんだ～ 　 おっ、気になる。 　 一同の注目が、おすしさんに集まります。 　 　 　 僕のは、「和子先生」。さわやかさの中にちょっと光る厳しさを感じたのでこうしてみました。 　 おっ、私とはまた違う感じだね～ 　 女教師なんだけど、年齢30歳くらいの若めの女教師をイメージしたんです。 　 具体的ですね…… 　 そう、そこまで若すぎるわけでもなく、経験もあるんだけど、地方から出てきてて、長野出身なの。都会で頑張ろうとして自分を奮い立たせて生徒を叱ってるの。（熱弁） 　 　 先ほどの、なとみさんの女教師とはまた違ったタイプのイラストです。 　 この先生の、当時生徒だった人がタイムスリップして、この大人になった状態で出会う、っていうシチュエーションなんです。 　 どういうこと！？ 　 タイムスリップするの！？ 　 中学の時の自分の先生だったんだけど、今、大人になって、同い年になった状態で出会うっていうシチュエーションなんです。 　 出会っちゃった？ 　 恋もできちゃう？ 　 そうそう！お互い同い年になれちゃうからね。 　 ドラマがあるね～。あの頃の先生との再会かあ。いいなあ。 　 「タイムスリップして、あの頃の先生と出会う」というロマンチックな背景を携えた、おすしさんのイラストと熱い説明に、一同じっくりと聞き入っていました。 　 「先生」ってところが、なとみさんと一緒だなあと思って。 　 と、語ったおすしさんに、すかさずなとみさんは、 　 全然違うじゃない！ 　 と反応。（笑） 　 なとみさんの先生にはエロさがありますもんね。 　 なとみさんのを見たおすしさん、「巨乳かあ」って言葉が出てたから（笑） 　 2人の絵を比べてみると… （左がなとみさん作、右がおすしさん作） 確かに、同じ「女教師」でも大きく異なります。 　 　 そう！そこどうしようか悩んだんだよね～。 　 私の描いた先生は、中ピンクのガーターベルトとかで、エロさの中に可愛らしさみたいなものが出てる感じかな。 　 僕のはあんまりエロくはないかもな～(笑) 　 と、同じお酒を飲み、同じ女性教師を描いても全く違った感じに仕上がるのが面白いですよね！この流れで我こそは！という方！という司会の声に、手を挙げてくださったのが、つぼいひろきさんです。 　 さわやか系モノノフ「カズマ」です。 　 　 男なんだね！ 　 そう！ピンクのZポーズで、ももクロのあーりんを推してる男の人をイメージしました。アイドルオタクの中でも、健全でさわやかで、みんなから一目置かれてるタイプの人ね。 　 さわやか、ってしっかり文字でも記してある。(笑) 　 そうそう、色味的にもピンクでももいろクローバーZの佐々木彩夏さん推しをイメージしたんです。 　 　 ラベルに描かれている「Z」からも、ももクロ好きなモノノフを連想したんです。 　 味で判断してないじゃないですか(笑)！ 　 いや、でもね、味わいがさわやかだったから、この擬人化の際のカズマもさわやかにしたんだよー 　 確かにつぼいさん、飲みながらゆっくりラベルを眺めていらっしゃいました。銘柄の名前が擬人化に投影され、お酒の味わいが、擬人化したキャラクターの人柄を表す際に反映されているようです。 　 次に「僕、いいですか？」と笑顔で手を挙げてくださったのはオゼキイサムさん。発表されたイラストは… 　 　 これまでとは一変した「擬人化」の様子に、あちこちから「おおっー」という声が上がります。 　 さわやかさがありつつ、飲みやすさがあったので、女性的な感じを出してみました。 　 やっぱり女性で来るんだね。 　 おすしさん、なとみさんともかぶるんですが、女性らしさを擬人化させた感じですね。 　 巨乳？ 　 いや、これは巨乳というより…… 　 　 ちょっと太めです(笑)。でも、色気はある感じですね。結構攻めたイラストにしてみました。 　 ここまで、お酒の味わいを、擬人化したキャラクターの人生や性格に反映させているイラストが多い中、そのままPR用のマスコットキャラクターになりそうなオゼキさんのイラストは、お酒の新しい一面を見たような新鮮な気持ちになります。 　 そして、最後にゆっくりとスケッチブックを開いてくださったのはオオノマサフミさん。日本酒は普段あまり飲まない、というオオノさんの「擬人化」は…… 　 　 僕が日本酒を飲んだ経験が少ない中で、飲んだ感想として、ちょっときりっとした感じがしつつ、甘い感じもあったので、こう描いてみました。 　 親子なんだ！ 　 そうです。親子で、子供がオシャレヘアーの本を見て美容院に行ったのだけど、パーマに失敗しちゃって落ち込んでいるところを、母の優しい愛情で「似合ってるよ」と励ましてもらっている、という絵です。 　 いい話じゃないか！ 　 「落ち込むことない、似合ってるよ」っていう母の励ましが、全体的な優しい味わいを表している感じです。 　 キャラクターの定義を進化させましたね！ 　 　 カズマ君頑張れ、みたいな、優しい感じのお母さんなんです。 　 どんなミスでも励ましてくれるお母さん、なんだね。 　 「落ち込んだ時とかに飲みたい、そういう日本酒なのかな」って思ったんです。 　 ここで一同、「ああ～」「なるほど」と、納得の声が。 　 ラベルの裏も丁寧に眺めていたオオノさんは「この親子は石川県出身です」と蔵の位置に合わせた背景を語ってくださいました。日本酒は普段飲まない、と冒頭で答えていた中、飲み慣れていないからこそ捉えられる視点で描かれたイラストですね。 　 そう考えると、みんな似ている気がする。女性を想像したわけだし。 　 一人だけ違ったような…… 　 絶対みんな、女の人描くって決めてきてたでしょーー！ 　 と嘆くつぼいさん。確かに、5人中4人が女性をイメージした擬人化イラストを描いたという点は、日本酒の特徴を大きく表していますよね。 　 5人のイラストが出そろったところで、いよいよ投票へ！ それぞれの個性が出た「日本酒擬人化計画」。ここから、5人のイラストレーターさんには自分のイラスト以外で良かったと思うイラストに各人1票ずつ入れる投票を行い、1位を決めていきます。 　 「せーの」の合図で指を指していただくことに。結果は… 　 つぼいさん・なとみさんのお二人がオオノさんを指し、日本酒擬人化計画、第1回目の優勝は、オオノさんの絵に決まりました！ 　 優しい味わいを「擬人化」する企画の中で、1人の人間を描くかと思いきや、優しい味わいを親子として表現したその手腕に、拍手です！ 　 日本酒の味わいの感じ方は十人十色 いかがでしたでしょうか？同じ日本酒でも、味わいの感じ方にも個人差があるように、飲む人によってとらえる側面が変わり、それが擬人化されると、個性が際立つイラストになることがわかりました。「このイラストは共感できる！」というものや、「このイラストみたいな味わいか気になる！」など、見た人がさらに日本酒の味わいを考え、自分ならどう捉えるか考えるきっかけにもなるのではないでしょうか。 　 今回イラストレーターの皆さんが思い思いに擬人化していった数馬酒造「KAZMA 特別純米酒」は、KURAND SAKE MARKETで味わうことができます。イラストを目にして、味が気になった方はぜひご来店して、味わってみてくださいね！ close

【第1回】もしも人気イラストレーターが、日本酒の味わいを擬人化して描いたら―