試行錯誤を重ねつつ、醸したお酒のコンセプトにはしっかりと責任を。|宝山酒造 若松秀徳さんの詳細

試行錯誤を重ねつつ、醸したお酒のコンセプトにはしっかりと責任を。|宝山酒造 若松秀徳さん
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記事タイトル 試行錯誤を重ねつつ、醸したお酒のコンセプトにはしっかりと責任を。|宝山酒造 若松秀徳さん
概要

まだ飲んだことのない日本酒を飲むとき、どんな人がどんな思いで醸した日本酒か知って飲むと、日本酒はもっと美味しくなると思いませんか?そんな思いで始まった蔵元さんインタビュー、今回は「犬猫」の愛称でお馴染みの「酒を売る犬 酒を造る猫」醸造元の宝山酒造・若松 秀徳(わかまつ ひでのり)…… more さんのインタビュー、前編です。   宝山酒造で営業をされて4年目の若松さん。日々挑戦をしながら奮闘されているお話を聞くことができました! きっかけは学生時代に居酒屋で ーまず初めに、若松さんの経歴を教えてください。   もともとは埼玉出身で、大学生の時に東京に上京し、東京の大学を出てワインショップでの販売、飲食店での経験を積んだあと社会人3年目の時に宝山酒造で勤めることになりました。現在は宝山酒造歴4年目です。   ー販売のお仕事をされている時から造る側になりたかったのでしょうか?   遡ると大学1年生になるんですけど、もともとお酒を学べる学科に入学したんです。そこで、1番最初に友達になったのが宝山酒造、次期杜氏の渡邊なんですよ。もともとこの学科には酒蔵の息子が集まる、というのは聞いていたので、かなり恵まれた環境で学ぶことができたなと思っています。 で、大学二年生の終わりぐらいに、渡邊と2人で居酒屋に飲みに行った時に、彼から唐突に「一緒に酒を造らないか」って言われたのが始まりですかね。   ー「酒を売る犬 酒を造る猫(通称:犬猫)」のストーリーをご存知の方はおなじみのお話ですね。   就活を意識するようになって何しようか考えていた時には、すでになんとなく「宝山酒造で働くかも」とは思っていましたね。でも、渡邊が卒業後3年間、宝山酒造とは違う酒蔵で修行するということを聞いたんです。   その時僕は、一緒になって酒造りを学んでも面白くないと思って、渡邊が造る勉強をするなら、僕は「酒を売る勉強をしよう」と考え、酒屋・問屋の会社に就職することになったのです。酒を売るという勉強、というところから入ったのが始まりでした。 ここ5年で、いいお酒を手頃に飲める環境は増えてきている ー今は、宝山酒造で営業をされているんですよね?   はい。   ー日本酒業界で営業をされていて、変化したと感じるところはありますか?   僕自身も日本酒の業態はものすごく変化していると思っています。KURAND SAKE MARKETもそうですが、楽しくいいお酒を飲める場所というのは確実に増えていると感じます。   僕らが大学生であった頃は、お酒にこだわるいいお店に行かないといい日本酒は飲めなかったですもん。いいお酒を楽しむには1回5,000円くらいは出さないと…(笑) ーそれか、普通の居酒屋で飲める安い日本酒になっちゃいますよね。   そうなんです。でも、僕は恵まれたことに、大学の学科がそういう学科であったので、OBOGが酒蔵関係者の方が多くて。文化祭の時にお酒が送られてきたりするんですよ(笑)お酒でブースが埋まっちゃったりすることも多くて…なので、いい日本酒には恵まれていたと思います。   ーそうなんですね。うらやましい(笑)   でも、僕自身もここ5年でいいお酒が手頃に楽しめるサービスなどは変化していると感じてます。    ーなるほど。それでは、宝山酒造の今後の展望など教えていただけますか?   渡邊が蔵に帰ってきて4年目になりますが、当初は自分たちが何をしたいのかが全然見えていない状態でした。取り組みをするにつれて見えて来たものは、「食べるお米を使ったお酒」の開発です。   新潟といえば、コシヒカリですよね。コシヒカリで造ったお酒で、コシヒカリをご飯として食べるといった、食中酒みたいなものを造ろうとしています。試験的で、まだまだ商品化していないんですけど、今後は食べるお米で造ったお酒の可能性を信じていきたいと思います。   ー確かに。食べるお米で造ったお酒、飲んでみたいです。   酒米は日本酒好きな方からしたら有名なものってわかると思うんです。でも、なかなか日本酒を飲まない人からしたら馴染みはないじゃないですか。でもコシヒカリは小学生も知ってるので、そう言ったお米で造ったお酒というのは興味を持ってもらえるだろうし、飲みたいって思ってもらえるだろうなって思ってます。   ーなるほど。   お客さんからよく言われるのが、「新潟県ではお酒も美味しいからお米も美味しいんだよね?」というお言葉。でも、新潟県の美味しいお米はコシヒカリであって、美味しいお酒は酒米から造られてるんですよね(笑)であれば、そこをイコールにしちゃおう!という意図もあります。それが蔵としてのメインの活動としてあっても面白いんじゃないかなって思ってます。   ー確かに、居酒屋でお酒を選ぶときに、とりあえず自分の地元のお酒を選んでみよう、というような感覚で、なじみのあるコシヒカリだと手に取ってもらえそうですよね。   そうですか?よかった(笑)安心です。 毎年試行錯誤しながら、でもコンセプトはしっかりと ー今お話ししていただいた内容もそうですが、造り手の方がお若いので、酒蔵の雰囲気も挑戦的な感じなんでしょうか?     挑戦の意味としては色々あると思うんですけど…宝山酒造としては、今までやってこなかった取り組みを毎年、一昨年くらいから行なっています。その代表的な取り組みとしては、KURAND SAKE MARKETでも取り扱いのある、「二才の醸」ですかね。これはコシヒカリを使用して造られています。   元々の宝山のブランドの中にもコシヒカリで造ったお酒はあったんですけど、もっとつくり方を工夫する、つまり今までの宝山の造りと変えながら。「二才の醸」は2年目になりましたが、毎年試行錯誤しながら、自由に味を変えています。だからこそ、自社が醸したお酒のコンセプトというのは、自分たちで責任を持って、0から100までやりきるというのはミッションとして掲げています。   ー「二才の醸」はどのようなコンセプトで造られたお酒ですか。    「二才の醸」という銘柄は、20代で造る日本酒、というプロジェクトで。このプロジェクトが生まれたのは5年前で、初代は石井酒造さんです。でも、石井酒造の杜氏さんが30歳になって造れなくなってしまったので、宝山酒造が引き継いだのが始まりです。初年度と去年で結構造り方も変えているんです。結構自由に造っています。  でも、今年渡邊も30歳になってしまうので、造る人をバトンタッチしようとは考えています。   ーなるほど。「二才の醸」を製造しなくなっても、コシヒカリを使用したお酒は造り続けるのでしょうか?   そのつもりです。宝山酒造としてのブランドのお酒にしていこうと考えています。 「酒を売る犬 酒を造る猫」について   ー毎年「酒を売る犬 酒を造る猫」には、ラベルのテーマというのがあると思うんですけど、今年のテーマはなんでしょうか。   「はじまり」です。このお酒を製造した初年度のテーマが「出会い」。これは先ほど言った大学2年の時のシチュエーションをデザインしました。それで、2年目が「修行」編です。お互い違う地で、酒を造っている、売っているシチュエーションを描いています。3年目は「はじまり」です。将来一緒に働くと決め、お互い違う地で修行をしたのちに、再度一緒になって宝山酒造としてやっていくという意味でも、「はじまり」です。   ーなるほど。   今年、渡邊が正式に杜氏になったんです。これも「はじまり」です。去年、一昨年「二才の醸」と「酒を売る犬 酒を造る猫」だけは渡邊が責任者でしたが、その他の銘柄は他の杜氏も携わっていました。しかし、今季から全ての銘柄が渡邊が責任者になって造る、という意味でも「はじまり」と名付けました。   ーそもそも、なぜ犬・猫というキャラクターになったんですか?   KURANDと一緒にお酒を造る、ってなった時に、「宝山酒造の特徴ってなんだろう?」ってなったんです。その時に思いついたのが、酒蔵にいる猫「ミー太さん」。人懐っこくて可愛い猫がいて…猫新聞とか雑誌にも取り上げられるくらいでした(笑)   なので、猫をモチーフにしたラベルで進めていきましょう、という話になりました。でも、猫だけだと他の酒蔵さんもやってるんですよ。なのでもっと1歩踏み出した酒造りを…と考えていたら、荻原さん(弊社代表)が、「若松さんって犬に似てますよね」ってぽろっとおっしゃったんです。   ー言われてみれば、確かに(笑)そっくりですね!   そうなんです。この一言で、「このアイデア、面白そう」となったんですよ(笑)なので、このアイデアを基に、渡邊と私、お互いの立場を位置付け、商品化したのが「酒を売る犬 酒を造る猫(通称:犬猫)」です。   ーなるほど!そういったコンセプトだったんですね。   「友と一緒に飲み交わす」というコンセプトを元に、僕らが歩んできた道をストーリーとしたんです。そして無事3年目を迎えることができました。   ー造りについても、宝山さんらしく毎年変化させているのでしょうか?   初年度は宝山の酒造りの伝統に習って醸しました。2年目は新潟県が開発した「新潟酵母」の使用にチャレンジしました!3年目も新潟酵母を使用していますが、お米が酒米ではなく、「こしいぶき」という飯米を使用しています。酒米に比べて少し醸しにくいです。    先ほども食べるお米で造るお酒の話をしましたが、犬猫も同様に食べるお米にこだわって造っています。   ーなるほど。それに伴って味わいも毎年変化があるんですね。   また、味は去年はドライでスッキリ。今年は割と辛口です。毎年お米も酵母も変えているので、右往左往しつつ取り組んでいるところです。   あとは、「酒を売る犬 酒を造る猫」ってラベルのイメージからしても、飲んでみてこってり重い味わいというイメージは湧かないと思うんです。なので、飲みやすくて香りもフルーティーなものに仕上げています。新潟酵母が爽やか系の香りを出すんですよ! 居酒屋での約束が実現した、若松さんと渡邊さんのストーリー。その二人の熱い想いが今の宝山酒造に込められているんですね。 今回のインタビューで取り上げた「犬猫」のお酒は、定期購入サービスKURAND CLUBの「今月のお酒」としてお届け予定です。お酒についての詳細もぜひチェックしてみてください。 「犬猫」の詳細はコチラから 次回は若松さんのお酒に対する思いや、読者の皆さんへのメッセージを紹介します♪次回もお楽しみに! close

試行錯誤を重ねつつ、醸したお酒のコンセプトにはしっかりと責任を。|宝山酒造 若松秀徳さん
サイト名 KURAND
タグ インタビュー コラム マガジン 酒造
投稿日時 2018-06-15 01:29:00

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