和歌山県の雑賀はお酒も嫌いじゃないですが、一番好きなのはポン酢です。まあそれはともかく。はせがわ酒店の社長が気に入ってタンク買いしたというお酒。並び的に上のほうにあったんで買っておいたのですが28BYか。今年の一本！！の上にちょろっと書いてあるのがせこいな、つーかもう今年じゃねえ…… more だろｗ別に美味きゃ問題ないんですけどね。去年から何回かに分けて出荷しているのでしょうが、ちゃんと今年出荷のものですし。山田55のスタンダードな火入れ中吟でしょう。そんなに派手でなくて、かつ酸のあってきれいでややドライな蔵元だと理解していますのでワイングラスから行きます。ポン酢もね、ほんとに薄味なんだけどあれが癖になるのよ。そんなに香る蔵でもないことは重々承知。ほのかに甘い香りがする程度の立ち香。確かに悪くないですね、これは。素晴らしく滑らかでシルキー＆つるっとなタッチ。程よく艶っぽい含み香が、たしかにいつもの雑賀よりもある。さらに熟成で育った、ややミルキー＆シュガーな甘み・旨味があるが、まだちょうどいいくらいでこれは流石に山田錦の火入れ。とろっとしたタッチながら、程よく落ち着いた酸とドライなビターさでフィニッシュ。ただし、捌けはつるんっとタッチの質感も勢いも極めて良好。さらにゆっくり口の中で味わうと程よいクリーミィさ、弱ミネラル感のような旨味が感じられグッドです。なかなかいいですよ。あげつらえば、もすこし酸味があればとか、粒立ちがあればとか、年越さないほうが良いかなとかあるけど。どうみてもいいお酒。一呼吸置くと甘さがけっこう出てきて、いわゆる紅茶的な感じ、ちょっとカカオもあるしバレンタインにどうかな？甘さも酸味も旨味もあって混然一体。ノーストレスなスムースさ、つるっとした液体としての美しさ。各味わい要素のそれぞれの良さに、構成の良さ。ややすっとした揮発性もほのかに感じつつ、余韻なんかもいい旨味感。がっつり純米燗酒熟成的に旨いんじゃなくて、五味の要素でいろんな表情が出ますが、美味しいって感じ。酸も今回は表には出てきませんが、美しく程よい弾力でさすがこの蔵だなあと。ベリーグッドです。いいですね。正直言っていささか地味な雑賀というお酒をこうやってまるまる1本かって売る度量。これぞ酒屋さんに求めるものですよ。ディスることもありますがさすがに業界の盟主です。はなからPBでタンク1本お願いするってのはよくあって、実際どこの酒屋も懇意にしてる蔵のタンク1本分くらいは十分捌く力あるんだけど。なかなか後出しで買います！ってぽんと金はらう力のある酒屋はないからね～。いや他のとこもやってほしいんですけどね。いいタンク買い付けてきてぼったくって売ったらいいじゃない。いや実際それなりに名の通った酒屋なら200本や300本捌けるでしょ、小売りと付き合いのある酒屋でちょっと押してあげりゃさ。小山なんか来るもの拒まず的に広く扱っててあれはあれですごいけど。旨かったらタンク買いして売るからもってこい、みたいな超上から目線な酒屋があっても面白いと思うけどね。逆にみんなこぞって持ってくんじゃなかろうか。まあこれ目当てに買ってもらっても逆に怖いので、何かある人はついでに買ってみてよ。文句なしうめえってなるかは知らんけど、光る要素は感じ取れるし勉強になると思うよ。改めて鳴門鯛のあとに飲むと、こちらのほうが柑橘的な酸味のニュアンスはありますね。あくまでふわっと軽いですけどね。まったく予期していなかったのですが、この時点の純大でもない一般t系なスペックの熟成酒として本当に最高峰な飲み比べとなりました。ややまったりバニラバナナカカオがくる鳴門鯛に比べれば、やはりこちらが柑橘的な酸がありますね。その意味ではこちらのほうが正統派に文句なく美酒で普通なのですが。鳴門鯛がミルキーなのに異様にクリアーなのがびっくりします。あとは好み。新酒に飽きた人やってみなはれ。 close

雑賀 純米吟醸 山田錦SP 28BY